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大阪狭山市に新しくできた狭山池博物館は、6世紀前半につくられたこの溜池の堤だけが主要な展示物という、実に過激な博物館である。たったそれだけなのに、驚くほど面白いのだ。安藤忠雄の設計した建物は、それじたい堤を思わせる巨大な二つの直方体から成り、観客は両側を流れ落ちる水のカーテンの間を通って内部に導かれるようになっている。その最初のゾーンには、1400年の歴史が積み重なる堤の断面が、なんと、高さ15m、長さ62mにわたって、そのまま展示されているのだ。この迫力の前ではキーファーの大作でさえ色褪せて見えるだろう。その断面の中には、地震の痕もあれば、何度も繰り返された改修の跡もある。奈良時代の行基や、鎌倉時代の重源。とくに、東大寺の再建で知られる重源にいたっては、その辺の古墳から掘り出してきた石棺を並べて樋をつくっているのだから、過激というほかはない。被差別の民や外国人まで力を合わせて工事を成し遂げたという石碑などは、「和様化」に抵抗した数少ないヒーローの一人として磯崎新の評価する重源の面目躍如というところだろう。こうして、この池の堤だけから、歴史の諸相が自ずと浮かび上がってくるのだ。これほど面白い博物館は、日本にあまり例が無いのではないか。最後には土木イデオロギー(「だからダムは必要だ!」)を宣伝するコーナーもあるが、それほど目立たない。むしろ、そのおかげか、入場無料というのは、大したものだ。大阪から南へ下る機会があれば、やはり安藤忠雄の設計による近つ飛鳥博物館とあわせてぜひ! なお、情報は次のホームページで知ることができる。
⇒ http://www.sayamaikehaku.osakasayama.osaka.jp/ |
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