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ヴィム・ヴェンダースの「ミリオン・ダラー・ホテル」は、本当にミリオン・ダラー程度――できればもっと低予算で撮ればうまくいっていたかもしれない映画だ。ロサンゼルスにある、社会の落ちこぼれの吹き溜まりといった感じの、裏さびれたホテル。ちょっと頭のよわい男の子と、彼の憧れるやはりちょっと変な女の子。ひとつの死が彼らに投げかける波紋。ストーリー自体は、愛すべき寓話といったところなのだが、原案にU2のボノが加わっていることもあり、やたら大規模なプロダクションで映画化されてしまった。そのため、初期のレオス・カラックスあたりが低予算で撮っていれば軽やかな映画に仕上がったかもしれないものが、「巨匠」となったヴェンダースのいかにもドイツ的な重苦しさによって厚ぼったく塗りこめられてしまったのである。ヴェンダース自身、「巨匠」として祭り上げられることから逃れようとしている節があり、前作の「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」では、キューバの年老いたミュージシャンたちをめぐるドキュメンタリーというマイナーなジャンルを選ぶことで、それに成功していたと言ってよい。しかし、続く「ミリオン・ダラー・ホテル」は、あまりに「重厚」な「大作」となることによって、ヴェンダースを元の罠に連れ戻してしまったのである。皮肉な結果と言うべきだろう。 |
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