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あのリドリー・スコットも、良くも悪しくも「常識的」な巨匠になってしまった。「グラディエーター」と「ハンニバル」を見ての感想だ。「グラディエーター」は、かつてハリウッドが得意としたローマ帝国の大歴史絵巻を、CGを駆使して現代に甦らせようというもの。たしかに、大規模な戦闘シーンや円形闘技場のシーンは迫力があるし、同じローマを描いたジュリー・テイモア監督の「タイタス」(アンソニー・ホプキンス主演)のように悪趣味ではないとはいえ、特に驚くようなところはないし、何より最後に愚帝が敗北するという物語構成は安易に過ぎる。「ハンニバル」は、ハンニバル・レクター博士(アンソニー・ホプキンス)とクラリス・スターリング捜査官(ジョディ・フォスター)の対決で話題を呼んだ「羊たちの沈黙」(ジョナサン・デミ監督)の続篇。フィレンツェに潜伏していたレクターが殺人を犯すシーンや、アメリカに帰ってきたレクターが最後に「脳の生け造り」に挑むシーンなどは、なかなかよく撮れている。原作のうちレクターの異常性格を幼年期のトラウマに求める説明的な部分をカットしたのは賢明だし、原作とは違う結末も面白い。とはいえ、これまた特に驚くようなところはないし、何より今回ジョディ・フォスターが出ていないのは決定的な弱点だろう。もうひとつ、グールドがピアノで弾くバッハがフィーチャーされるのはいいとして、レクター自身が年代もののチェンバロとテルミンを弾くという原作の興味深い設定が無視されているのは残念だ。アンソニー・ホプキンスがあの奇怪な電気楽器を操る姿を見たかったと思うのは私だけだろうか。いずれにせよ、「エイリアン」や「ブレードランナー」でわれわれを驚かせたリドリー・スコットも、良くも悪しくも「常識的」な巨匠になってしまった。だからこそその作品が世界を制覇しているのだとしても、かつてのファンにとってこの「成熟」はいささか寂しいものには違いない。 |
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